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まだ束のままの名刺をポケットに

[2025.10.01]

今から第1回目の骨粗鬆症検診委員会に医師会へ向かう。
この地域で働いていながら、まだきちんとご挨拶できていない先生が思いのほか多い。
紹介状というかたちで名前を目にし、患者さんを通して関わっているのに、先生方の声も表情も、直接は知らないままになっている。

こんな会議の場っていうのは、いつも少し緊張する。
発言の内容を考えるというより、そこにいる人たちの呼吸や間に、自分がどう入り込めるのかを探す時間だ。
今日はとにかく挨拶をしようと思う。
短くてもいい、たどたどしくてもいい。
「初めまして、いつもありがとうございます」と、その一言を繰り返すことに意味がある気がしている。

名刺入れを開くと、2年前に作った名刺がまだ束のように残っている。
配る機会がなかったわけではない。
けれど、その一歩をなぜかいつも見送ってきてしまった。
紙の角が少し丸くなっているのを見ながら、この2年分のためらいを、今日こそ少しでも減らしたいと思う。

苦手だとか得意だとか、そんなことよりも、目の前の人に頭を下げることの方が大切だ。
ぎこちなくても、名刺を差し出す手が震えても、それが僕の今日のミッションだと思う。

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