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トレーニング器具を片付けて、先輩が増えた話 ~新しい風がみんなの立ち位置を前にずらした 

[2026.01.24]

1月19日から、新しい医療事務スタッフが加わった。
20歳。新卒。
年齢だけを聞くと、一瞬、頭の中で計算が始まる。

僕よりも、娘のほうがずっと近い。
いや、「近い」というより、同じ時代の空気を吸っている感じがする。

彼女は元気がいい。
患者さんを呼ぶその声に、余計な装飾がない。
声がまっすぐで、よく通る。
そのテンポが、クリニックの空気を一段階だけ前に進める。

新しい人が入ると、職場は少しざわつく。
それは決して悪い意味じゃない。
机の配置を変えたときみたいに、
「ここ、こうだったっけ?」と、無意識に確認が入る感じだ。

彼女が加わり、クリニックのスタッフは9人になった。
開院した頃は5人だったことを思うと、
いつの間にか、ほぼ倍の人数で患者さんを迎えていることになる。

不思議なもので、人数が増えたからか、
これまでのスタッフが、少しずつ先輩の顔つきになってきた。
誰かを教える声の調子や、
立っているときの背中が、前よりも落ち着いて見える。
きっと、いい風がふいているのだと思う。

彼女は、まだこの場所の「普通」を知らない。
だからこそ、こちらの「当たり前」を軽々と飛び越えてくる。
それが、新しい風なんだと思う。

ミニキッチンのスペースが、少しだけ手狭になった。
そこで、これまで場所を取っていた
僕のトレーニング器具を解体して、片づけた。

たいした決断じゃない。
でも、そのほうが、この場所はきっと使いやすくなる。

僕は彼女の背中を見て、
ほんの一瞬だけ、自分の娘の未来を想像する。
娘も、いつか誰かの職場に、
こんなふうに風を運ぶのだろうか、と。

クリニックは、来週からもいつも通り診療をしている。
でも、いつも通りの中に、
確実にひとつ、新しい音が混じった。

それだけで、この1月は、
少しだけ特別になった気がしている。

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