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ララバイではなかった、アザミ嬢のララバイ ~ラジオから流れてきたのは、子守唄の名をした孤独のうた

[2025.11.08]

朝のラジオから、聴き覚えのあるメロディが流れてきた。
「アザミ嬢のララバイ」。

印象的なそのフレーズに、
「あ、これ、子どものころ車の中でよく聴いたやつだ」と、胸がばくばくした。

父親だったか母親だったか、どちらかがきっと好きで、
車に入れっぱなしのカセットテープにはいっていた曲だったんだろう。
中島みゆきさんのデビュー曲だったんだね。

まだ僕がサッカーを始める前、テニスを習っていたころの話だ。小学校1、2年生の頃かな。
家からそう遠くないテニスコート。
竹藪を抜けた先にあって、今思えば少し神秘的な場所だった。
そこへ向かう車の窓の外に流れていた風景と、
あのころの空気の匂いまで、ふわっと戻ってきた。

「ララバイ」という響きが、やけに耳に残る。
でもその意味を知らないまま、大人になっていた。
どちらかというと、父親が口ずさんでいたような気がする。

調べてみる。
びっくりした。
ララバイ(Lullaby)は英語で「子守唄」って意味だったんだ。
ゆったりしたテンポで眠気を誘うメロディ。
赤ちゃんや小さな子どもを寝かしつけるときに歌う、やさしくて穏やかな歌。

そうか、あれは子守唄だったのか。
知らないうちに、僕は車の後部座席で、
子守唄にあやされていたのかもしれない。

土曜日の朝に、三十年前の僕が戻ってきた。
あのころの両親の年齢に、今の僕は立っている。

はやいもんだな。
あのころの僕も、今の僕も、
同じララバイを聴いている。

 

じゃあ、「アザミ嬢」ってなんだろう。
今さら気になって調べてみた。

古代バビロニアで―
「子どものできない女性、あるいはあえて子どもをつくらない女性」のことだという。

ラジオを止め、You tubeで曲をかける。

「ララバイ ひとりで眠れない夜は
ララバイ あたしをたずねておいて
ララバイ ひとりで泣いてちゃみじめよ
ララバイ 今夜はどこからかけてるの
春は菜の花 秋には桔梗 
そしてあたしは いつも夜咲く アザミ」

これは子守唄じゃなかったんだ。

胸がしめつけられる。

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