座長席の同期と再会する日の朝
学会で名古屋に来ている。当日の朝だ。
昨日は家族に新富士駅まで送ってもらい、新幹線に乗った。「自分はまだまだ挑戦する側なんだよな」と感慨深い思いに揺られた(新幹線はあまり揺れない)。
ホテルに荷物を置いて、歩き出した。名古屋城を見たかった。
ライトアップされた名古屋城を見つけた。夜だった。門は閉まっていて、城は遠くにありながら、どこか拒絶しているようにも見えた。門が閉まっていると、人は必要以上にその向こう側を想像する。
仕方がないので、ひたすら歩いた。
歩いて、歩いて、気がつけば中部電力タワー(今はミライタワーというらしい)に登っていた。街を見下ろすと、昨日の自分の足跡が、地図の上に細い線として浮かび上がるような気がした。
今日だけで20キロほど。最近はApple Watchで歩いた距離と歩数を測っている。数字が増えるたびに、自分の存在証明を小さく更新しているような気分になる。最近は通勤も、できるだけ徒歩にした。3月1日にハーフマラソンがあるから、というのは建前で、本当は「まだ伸びしろがある」と自分に言い聞かせたいだけかもしれない。
そして今日は、内科地方会。
10年ぶりくらいに発表する。若手の登竜門のような学会だ。若いころ、ベテランの先生がこの舞台で発表しているのを見て、「この人、まだ戦ってるんだ」と思ったことがある。年齢ではなく、姿勢の問題なんだと。いつまでもフレッシュでいたい、なんて言うと少し気恥ずかしい。でも、本当にそう思っていた。だから今日は、念願の内科地方会なのだ。
座長は、浜松医科大学で一緒に汗を流した同期の古川先生。大きく道は分かれた。彼は大学でキャリアを積み、僕は開業医になった。今日、彼は座長席に座り、僕は発表者席に立つ。笑ってしまうような再会だ。
名古屋の朝は、少し冷えている。さあ、そろそろ会場へ向かおう。
