来た順番にもさよならを言わない
午後の診療を、少しだけ変えることにしました。
2025年5月26日から、のばなクリニックでは平日午後の診療を予約制にします。
診療開始は午後1時45分から。この時間帯だけ、前もって「順番」を決めておく仕組みに変わります。
けれど、午前と土曜日は、今まで通りです。来てくださった順番に、お呼びします。
それは、僕たちが来た順番にさよならを言わないと決めたからです。この時間帯は、ふらっと来てくださった人にも、いつもと同じ風景を残しておきたい。
クリニックという場所は、誰かが「大丈夫じゃなくなった」ときにも訪れるところです。だからこそ、そこに生まれる「待ち時間」には、ただの時間以上の重みが宿ります。
待ち時間が長くなりすぎたり、限られたスタッフの手が届きにくくなったり。そのすべてを、「来た順番」のルールで包むには、無理が出てきてしまうタイミングが増えてきたように感じました。
そんなタイミングでは、ひとり、またひとりと、来てくれる患者さんたちの間に、少しの焦りや疲れのようなものが混じって見えることがありました。こちらの事情もあるけれど、それだけでは語れない何かが、そこにあった気がします。
だから、午後の診療を、予約というかたちに変えてみることにしました。
言い換えれば、これは“午後”という時間帯に、ちょっとだけ秩序を与える試みです。「あなたの時間を先にお預かりする」という提案です。
もちろん、午後に急に体調を崩すこともあります。そのときは、まずお電話をください。当日分の予約枠をちゃんと確保しています。いわば「余白」のような時間帯。予約がないから診てもらえない、なんてことにはなりません。風邪も人生も、予定通りにはいかないものですから。
5月26日から8月8日までは「移行期間」です。旧来の“ふらっと来て診てもらう人”と、“予約に連れられてきた人”が、同じ待合室で交差します。
混ざり合う午後の時間の中で、僕たちは何度も順番を見直しながら、診察していきます。ただ、少しずつ未来に向けて重心をずらしていく、そんな期間です。
予約は、ご来院の際に次回分をお取りいただくのが、いちばん確実です。電話でも可能ですが、少し混み合ってしまうかもしれません。そういうときは、少し時間をおいて、もう一度。コップの水がぬるくなる頃にかけ直していただけたら、大丈夫です。
僕たちは、ただ診療の仕組みを変えようとしているわけではありません。待ち時間という名前の、ちょっとした「ずれ」や「ざわめき」を少し減らしたいと思っています。それはつまり、午後という時間に、少しだけ整った風を通したい、ということなのかもしれません。
それがうまくいくかどうかは、正直なところ、まだ少し手探りすぎて、わかりません。でも、そういうことを少しずつ試していくことも、たぶん僕たちの仕事なんだと思います。
午後の予約制、どうぞよろしくお願いいたします。