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動画の中の指先のメロディと、背中に届いた小さな手

[2025.06.16]

梅雨らしい、しっとりと静かな日曜日。ゆっくりと目覚めた朝、隣には奥さんだけ。気づけば、子どもたちはすでにリビングで『名探偵コナン』の世界に夢中になっていた。

今日は本来なら、こどもたちのピアノの発表会。けれど、2か月に1度まわってくる救急センターの当番と重なってしまい、朝から救急センターへ。少し悔しい気持ちを抱えながらも、こればかりは仕方ない。

昼休憩に、スマホに動画が届いていた。ピアノの発表会の様子を撮ってくれた奥さんから。てんじんやのお弁当を広げながら、3人それぞれの演奏を観る。曲が始まると、どの子も真剣なまなざし。去年から富士市でも続けているピアノ、しっかり根を張っているのだなあと、じんわり胸が熱くなった。

家族が浜松から富士に引っ越してきて、生活はガラリと変わった。今はもう、体操が中心の毎日。ピアノの練習に時間を割く余裕はあまりなさそうで、1年前には「ピアノ、やめてもいいかな」とこぼしていた。でも、はじめたばかりだったし、もう少しがんばってみようか、と声をかけた。

最近になって、長女の体操のクラスが変わって、火曜日の練習が加わるので、これを機に「ピアノやめて、火曜日も体操にする?」と聞いてみた。すると「ピアノはやめたくない」と返ってきた。体操の曜日を増やしたくないというよりも、ピアノをやめたくない――そんな感じの言い方だった。もちろん、本音はわからない。3人とも。でも、その一言に、続ける理由がちゃんとあるんだなと感じた。

正直なところ、演奏はあんまりうまくなっているようには思えなかった。でも、それでも全然いいと思った。ああ、ちゃんと続けているんだな、と。浜松にいた頃は、土曜日の朝にレッスンがあったから、月に1、2回はレッスンにつきあっていた(先生の家でこどものピアノをBGMに漫画を読んでいただけかもしれない)。でも富士ではレッスンは火曜の夕方。去年の発表会以来、子どもたちが外でピアノを弾いている様子をみるのは久しぶり。動画でも十分だった。

夕方家に帰ると、こどもたちが手作りのお守りを渡してくれた。そして、お風呂では娘ふたりにはじめて髪を洗ってもらい、背中を流してくれた。父の日だった。

忙しい1日だったけど、なんだかとても、いい日曜日だった。

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