のばなぶろぐ
言葉にするには、少しばかり間に合わなかったことや、
ただ、そこにあっただけの景色のことを、
遅れながら、思い出しながら、書いています。
家族のこと。
クリニックのこと。
誰かの顔や、名前もない感情のことも。
決まった形も、特別な意味もないけれど、
それでも、どこかでつながっている気がして、
ときどき、こうして綴っています。
これは、院長による、そんな日々の記録です。
たとえば、そんな音があったかもしれない
(2025.04.24更新)
クリニックの待合室にある自動販売機は、たいてい黙っている。
でも、ときどき、誰かの指先に反応して、短く「ガコン」と音を立てる。
静かな待合室に響くその音は、何かが終わる音にも聞こえるし、何かが… ▼続きを読む
釣りバカ日誌 〜海がまだ、よそよそしい。
(2025.04.20更新)
今朝は、誰よりも早く目覚めた……わけではなかった。
正直に言えば、目覚ましが鳴るより先に、長男の「起きて!釣り行くよ!」という声で叩き起こされた。まだ薄暗い部屋の中、長男の声だけがやけに透き通って… ▼続きを読む
桂馬の跳ねる音が聞こえる
(2025.04.16更新)
ぼくは自分の父親に将棋で勝ったことがない。正確に言えば、勝とうとしたこともほとんどない。父との将棋では、いつも盤上には静かな風が吹いていて、こちらが何か駒を動かすたびに、まるでその風に押し戻されるよう… ▼続きを読む
うすい光のなかで
(2025.04.12更新)
3月の第5土曜日、4月の第1土曜日と2週続けて土曜日に診療があった。
それは、ただのカレンダー上の事実にすぎない。数字としては「+1日」だ。
でも、実際にその中で動いていた人間の体と心は、たぶんも… ▼続きを読む
余韻
(2025.04.06更新)
診療が終わったのは、14時を少し過ぎたころだった。
西公園で桜祭りをやっている。そんな話を昼に耳にした。
なんとなく屋台くらいはあるんじゃないかと期待して、終わってすぐに家族を呼んで、歩いて向か… ▼続きを読む
マンカラ3日目、本気の1勝1敗
(2025.04.05更新)
今夜も、マンカラをした。
もう“ついで”じゃない。本気でやっている。
こどもが寝たあとの時間は貴重だし、仕事の前にやるべきことなんて山ほどある。
でも、それでも、盤を出す。
もはや日課じ… ▼続きを読む
マンカラのある生活。
(2025.04.03更新)
2日前から、夜に妻とふたりで“マンカラ”というゲームをやっている。
名前だけ聞くと、ちょっと魔法っぽい。あるいは、民族楽器か何かのようでもある。でも中身はれっきとしたボードゲームで、木の盤にくぼみが… ▼続きを読む
桜の木の下で、ふたたび雨が降るまで
(2025.04.02更新)
朝から雨だった。
そんな日は、世界が少し静かになる。車の音も、鳥の声も、どこか遠くで響いているような気がする。外に出たとき、空気に溶け込んでしまいそうなほど、ぼんやりとした空だった。
今日が晴れだ… ▼続きを読む
最後の卒園式とケーキ
(2025.03.19更新)
次女が卒園式を迎えた。これで三人の子どもが全員、卒園したことになる。
思えば長男のときも、長女のときも、卒園式にはちゃんと行けた。そうか、次女の卒園式だけ行けなかったことになる。次女には申し訳ない気… ▼続きを読む
記憶と講演の交差点
(2025.03.17更新)
9年前に浜松に招いてくれた小川先生が3月に大学を退官される。
その事実は、単なる日付の積み重ねの結果であり、時間の流れの当然の帰結とも言える。けれど、それを「知る」ことと「実感する」ことの間には、妙… ▼続きを読む